海千山千コンビ、京都姫路の旅報告 (2008.11.13〜15)
三
11月15日(土)
「さ、さむっ・・・」
前夜の宿は布団が薄くて明け方寒くなったけど、今夜はぬくぬくの布団だったはず。
でも寒い。ああ、寒い。すごく寒い・・・。
奈鳩さんの布団に潜り込んぢゃろか・・・と、ぬぼっと眼を開けもぞりと動いたら
奈鳩さんの布団との境に壁がある。
壁?
・・・・・・・・・海辻の掛け布団が綺麗に山を作っておりました。
毛布一枚じゃ寒くて当然だ(涙)
相変わらずとしか言いようが無い自分の寝相のスバラシさに呆れた事ですっかり眼が覚め、
カーテンをぴらりと開けると今日も真っ暗。
枕元の携帯で時間を調べると5時少し前。
結局この日もろくに眠れなかったと溜息吐きつつ起き上がると隣でゴソリ。
「ん、那由さん・・・朝ですか?」
あ〜、もぞもぞしてたから起こしちゃったね、ごめんね。
と内心で詫びつつ5時近い事を告げると奈鳩さんも起き出して、ふたりでお出かけの準備です。
トイレ行ったり顔を洗ったり身支度を終えて5時過ぎにフロントへ降りると
すでに玄関の鍵を開けたりなんだり活動が始まってます。
さすが宗教施設だ、朝が早〜い。
前回チーム関東が上洛した時、夜明けの伏見稲荷にムチャクチャ惚れ込んだもので
今回も是非見たいよね、という理由でチョイスされたこの宿。
最高の立地条件ですっ!
外はまだ真っ暗。
でも伏見稲荷の各建物は照明に照らされ幻想的。
日頃はこの時間に寝る事はあっても、こんな時間に起きる事など有り得ない海辻は
明け方が近づくに従って生命力が削られていく気もしましたが、でも綺麗v
ゆっくりゆっくり境内を巡り、朱の鳥居が連なってアーチをかける千本鳥居の小道を奥院へ。
前回も時間が無くてここまでで戻ったのですが、今回はまだ暗い中を
奈鳩さんはもう少し先まで行ってくる予定になっていました。
奥院から山を登っていくと三ツ辻という場所に辿り着き、私たちが歩いていった道とは
違うルートから伏見稲荷へと戻れるのです。
このルートは小さな稲荷社が道の両側に「これでもかっ!」と連なっていて
やはり一見の価値があると思ったので奈鳩さんにお勧めしました。
以前体力の無い海辻が行った時でも30分程度で行って戻れるものだから
「行ってきま〜すv」 「行ってらっしゃ〜いv」 と軽く軽く奥院から別行動。
真っ暗な空に映える千本鳥居の小道を奈鳩さんの背中が意気揚々と消えて行くのを見送り、
てれんこてれんこ奥院を徘徊していた体力無しの耳に何やら怪しい声が届きました。
(なんだ?)
奥院の小さな社殿の裏側。山に向かって立てられた鳥居に向かって、白い着衣を着た
年配の男性と女性が一心に何かを口ずさんでます。
部分部分しか聞こえないけれど。
「・・・たかまがはらに・・・いざなぎいざなみ・・・いなり・・・・・・とこよの・・・」
ああ、祝詞だ〜。
御神体は伏見稲荷の背後に聳える稲荷山に鎮座しており、私たちが眼にする壮麗な社殿は
あくまでも拝殿でしかないものです。
だから宮司さん達が山に向かって早朝の祝詞を捧げているのだと納得。
いいもん見たな〜、と、海辻は宿へと来た道を戻りました。
道の途中で明けてきた空を眺めながら、雲が多くて空の色が綺麗に移り変わらない事に
少しだけがっかりしましたけど、大人しく宿へ。
今日も一日予定がギッシリなので、奈鳩さんにご迷惑をかけないようにと体力温存です。
で、部屋の窓を開け放って朝の清浄な空気を室内に取り込みつつ、
ぼーっと景色を眺めていたんですが・・・7時過ぎに奈鳩さんからメールが。
「間違えて上まで登っちゃった。今から下ります」
・・・上ってどこよ? と、地図で調べ調べしてぎょぎょぎょっ!!
あのおぜう様ってば233mの山を登ってお稲荷様の上之社まで行っちゃったヨ!!
すごいです。参拝者の鑑です。まさか稲荷山を踏破するとは思いませんでした(汗)
そして奈鳩さんを待ってる間に部屋から撮ったのがコレ。
写真としてのデキはイマイチですが、部屋からこんな風景が見えたんだよ、という事で。
7時半頃に爽やかな汗と共に奈鳩さんが戻り、前夜買っておいた朝食用のパンをもぐもぐ。
ささっと荷物を纏め、社殿に向かって御朱印をいただき、改めて本日の予定へ出発!!
いなり駅から京都駅に向かい、新快速とやらで姫路へ一直線。
大阪までは混んでいましたが、そこを過ぎたら人も少なく快適な車中となりました。
「いよいよだね」 「うん、いよいよだ〜」
落ち着き無さも高まるのは当然。いよいよなのです!
無事に姫路に到着し、余計な荷物はコインロッカーに預けて、さて・・・亀山ってどう行くんだ?
姫路駅の中をうろうろ〜、うろうろ〜。
散々うろついた挙句、地図をじっと見ていた奈鳩さんが 「那由さん。これJRじゃないですよ」
・・・そうですか、そうなんですか(汗)
気を取り直して改札を出るも、今度は私鉄に乗る場所がわからない。
どこにあるのよ、山陽電鉄本線っ!!
姫路は旅人に優しくなぁぁぁいっ! と、ぷりぷりしつつ観光案内所へ行くと、丁寧に教えてくれました。
あれ? 旅人に優しいかも・・・。
でも一度駅を出て道路を渡った場所にあるデパートの中に乗り場があるなんて
まさか気づかないでしょ〜。わからん街だ、姫路(笑)
そしてときめく胸を抱えて、本当にいよいよなのです。
亀山駅で下車。徒歩3.4分の所にある亀山本徳寺。
西本願寺集会所が移築されている、新選組スキーだったら一度は訪れたい聖地!!
お寺の門前は石畳。格式の高さが伺える壮麗な大門。
む、胸がイタイ・・・。
正面に本堂、つまり北集会所だった建物が見えた時、思わず涙が出そうになりました。
ここだよ、ここ。
ここで彼らは暮らしてたんだ(じぃぃぃぃぃぃぃぃん)。
でもまずは寺務所でご挨拶。
拝見させていただきますとお断りを入れて、一番左手にある蓮如堂で南無南無。
そしていよいよ本堂です。
そ〜っと障子を開けて中へ。
ご本尊様に静かに手を合わせてから・・・脳内爆発。
今考えても、その時自分が何を思っていたのか覚えてません。
奈鳩さんは黙ってあちこちの写真を撮り続けていますし、海辻はボーっと天井や柱
ありとあらゆる場所を眺めてました。
そのうち本堂内部を出て廊下をうろうろ。
彼らがつけたという柱の刀傷をナデナデしてみたり、一本ずつ柱に抱きついてみたり。
そのうち角の端っこに座り込んで再びボーーーーーー・・・。
右の写真の右端の柱に寄りかかって取ると、左の写真が撮れます。
きっと彼らもこうしてくつろいだはず〜。
そして総司はこの階段に座りこんでいたんだ・・・(妄想妄想)。
散々ボンヤリしてましたが、そろそろお昼時。
何でもこのお寺ではこの日、お茶会があるとかで境内にズラッと車が停められてました。
正面から全景を撮るには実に邪魔。
という事で、どっかで昼食を食べているうちに車がいなくなる事を祈りつつ念じつつ、
和食ファミレスの“さと”でお昼ご飯。
このお寺はもっと山の中にあると思っていましたが、少し歩いただけで幹線道路のような
広〜〜〜い通りがあってファミレスやらケンタやらと盛り沢山でした。
でも寺域周辺は実に静か。
ランチをして戻ってくると車がいない。よっしゃぁぁぁ!!
という事で、へたっぴカメラマンが撮ったのがコレ。
何これ(汗)
ピンクの後光が差してるよ?
それに実に貧相に映ってます。美しい画像は奈鳩さんのところでご覧ください。
しかし・・・なにゆえピンクなんだ(まだ言ってる)。
この後は写真を心ゆくまで撮った奈鳩さんと一緒に、階段の上のつやつやした床に転がり
ここで暮らしていた彼らに思いをはせました。
「でもさすがに彼らも正面階段の上でゴロゴロはしなかったろうねぇ」 「わかりませんよ?
夏とか風が通ってさぞや涼しかったでしょうし」 「ああ、確かに気持ち良さそうだね〜」
「って事はアッチに竹矢来があって、西本願寺に参詣に来た人がジロジロ見てたんですね」
「あはは、こっちは全く気にしてなかっただろうけどね」
ごろごろ〜、ご〜ろごろ〜。
「昔って靴箱とかって無かったろうから下駄なんかこの階段の下に脱ぎ捨ててたのかね」
「そうかも。だとしたら勝手に人のを履いたりしてたんですかね。いや、でも兄上の話で
左右の足のサイズが違うとか出てたし、って事はやっぱり其々がきちんと自分用のものを
履いてたって事かな(ぶつぶつ)」 「下駄は時折共用で、草履は毎回部屋に持ち帰ってたとか?」
「あはは、それもまた面白いですね〜」 「百数十人分の下駄がここにズラズラ〜ッとあったら
さぞや壮観だったろうね〜」 (爆)
ごろんごろん。ころころすりすり〜。
「あれ? 監視カメラがありますよ? 寺務所の人が見て笑ってるんじゃないですかね」
「そうかもね〜。でもいいの。悪いことしてるわけじゃなし、笑われても全然平気。
どうせヲタクだし〜v」 「そうですね〜v」
ご〜ろごろ〜。ごろごろり〜〜〜。
・・・・・・いや、考えてみれば御本尊様の目の前でゴロゴロ転がってるってどうなのよ、って
感じですが、私たち以外に誰もいなかったんですよね〜。
そりゃ迷惑をかけない事だったら、やりたい放題ってものです(笑)
とはいうものの、さすがに本堂の中ではそんな無礼な事はしませんでしたよ、したかったけど。
さて、時間も押し迫って参りましたので、本当に後ろ髪を引かれながら
本堂内部同様に外の柱の一本一本に抱きついた後、本徳寺を後にしました。
さらば愛しき棲家よ、また来るぞっ!!
そして最後の観光場所は、言わずと知れた姫路最大の名所、『姫路城』。
駅から大手門まで100円で乗せてくれるバスに揺られて到着した城は
予想以上にデカかった。そして広かった。もひとついうと、山の上だった(涙)
実に実に実に美しいこのお城は別名『白鷺城』。
家康の孫娘で豊臣秀頼に嫁いでいた千姫が再嫁した本多氏のお城です。
で、写真を撮ってみた。
(涙)
どうしてピンクになるのかな・・・。
空子さん、これが爆笑モノの写真でス(汗)
でも右側は海辻にしては上出来上出来vvv
大手門から三の丸広場を突っ切り、本丸の足元まで来て上を見上げて唖然。
会津の鶴ヶ城も広かったし巨大でしたが、あちらは平地に建てられたお城でした。
こちらは小高い丘の上に建ってます。巨大な城が。
「頑張りましょうね!(にこにこにこにこ)」 奈鳩さんは元気です。
朝からすでに山登りをした方とは思えないほどに元気です。
でもさすがに海辻としても「大変そうだから行かない」とは言えません。
そんな事を言ったら、何の為にここまで来たのかわからないですから・・・。
“い”の門、“ろ”の門、“は”の門、“に”の門、“ほ”の門と潜りぬけ、登りましたよ大天守閣!
えっちらおっちら、時折奈鳩さんに手を引いてもらいつつ、地下一階地上六階の最上部まで。
ほ〜ら、高〜い。
・・・・・・心臓が止まるかと思ったヨ、急勾配な階段の連続でサ。
でも灼熱の鶴ヶ城より涼しい風が吹き込んできた事で、最上階は気持ちよかったです。
再びヨタヨタと階段を下りて大天守閣を出て、お菊井戸だの腹切丸だの言う櫓を見つつ二の丸へ。
こちらは庭園になっていて、疲労困憊の海辻にとっては見事な秋の風情も「あ〜、枯れてる〜」
程度の感慨しか抱けずおりましたところ、目の前に何やら昇り階段が。
『百間(ひゃっけん)廊下』
・・・・・・もう歩くのヤだよ・・・・・・(汗) と、げんなりした海辻の眼に別の文字が。
『化粧櫓(けしょうやぐら)』
え? えっ?? えええっっっ??
「行こう、さぁ、行こう奈鳩さん! サクサク行こう!!」
このあまりの変わり身に奈鳩さんが爆笑してました(汗)
だって化粧櫓ですよ? 千姫が本多家に嫁いで来た時に持参した十万石の化粧料で
作ったともいわれる、あの化粧櫓と百間廊下!!
見ないでどうする!!
ちなみに大天守閣の上から撮った写真の右上にある白い建物が百間廊下と化粧櫓です。
気づかず撮ってた、らっき〜vvv
この化粧櫓は男山を拝むために百間廊下へやってきた千姫が身支度を整えた場所でも
あるそうで、千姫と侍女の人形がありました。
う〜〜〜ん、トキメクぞ、姫君v
さて、こんな感じでふらふらしたところで閉城時間となったので城を出て、
門前のお土産屋さんをチラホラと見て歩き、駅に向かいました。
駅前のサーティワンでアイスを食べて最後の燃料補給をし、駅構内でお土産を買って
新幹線の乗り場に行ったのが6時半過ぎ。
あれ? お弁当屋さんが閉まってる?
え? ええっ??
京都や東京という所からしか乗った事の無いふたりは呆然。
なんですか? このまま空腹を抱えて東京まで戻れと? 4時間近くかかるんですぞ?
お〜〜〜〜〜い!!
「仕方ないですよ。車内販売に期待しましょう・・・」
宥めるように言ってくれる奈鳩さんの言葉にすがり、新幹線に乗り込みました。
が、回ってきた車内販売のお姉さんはニコヤカに 「お弁当は売り切れております」
・・・めそめそめそ・・・(涙)。
しかし、しかしです。新大阪で乗務員の交代と同時に新しいお弁当が補給され、
私たちも無事に夕飯にありつく事ができました。良かった良かった。
こんな感じのドタバタ旅は10時40分に東京駅に到着して終了しました。
二泊三日。実に中身の濃〜〜〜い旅でした。
今回は前回のように激寒でもなく、少し動くと汗ばむような良いお天気に恵まれ
行きたい場所に行け、見たい風景を見、思わぬ僥倖とも出会いました。
それもこれも奈鳩さんの細々としたフォローのおかげだと感謝してます。
とてもとても楽しい旅でした。
奈鳩さん、色々とご迷惑をおかけしましたが、本当にありがとうございました(礼)
そしてHANAさん、HIKARUさん、雨音さん。
旅にとても素敵な彩を添えていただきました。改めて御礼を申し上げます。
ありがとうございました(礼)
また懲りもせず京都旅を企画したいと思ってます。
こんなバタバタ旅でよろしければ、是非ご一緒してくださいませ。
長々とした旅報告を読んでくださった方々にも、心から深い感謝を(礼)
終わり
でも少しだけ反省メモ。
1.駅弁は駅の構内に入る前に買いましょう。空腹は悲しいものです。
2.旅の行程はきちんとチェックして、お土産を買うべき時と場所を決めておきましょう。
京都のお土産を買えませんでした。3日目は早朝に京都を出る事を忘れてました(涙)
欲しいものがあったのにぃ。
3.乗る電車の路線ぐらいは下調べしておきましょう。姫路駅でのドタバタは焦りました。
4.細かいルートまでは決めずとも、歩く場所の周辺地図ぐらいは確認しておきましょう。
京都所司代屋敷跡・・・くぅぅぅっ! 返す返すも悔しい。
このような一人ぼっちの反省会を、奈鳩さんと別れた帰りの電車の中でしていたのでした。