奥多摩・櫛かんざし美術館オフ      2007.11.20.(火)



参加者は 奈鳩さん、うみのすけさん、乃都さん、柏木さん、utaさん、海辻、です。


 始まりは海辻から某お嬢さんへのメールでした。
「奥多摩にね、面白い美術館を見つけたんだけど、きっと絵師様だったら
 絶対に食いつくと思うんだよね〜」

メールに書いたホームページへ飛んだ彼女が「行きたいですっ!」

そしていつもの如くトントン拍子に話は纏まり「平日なので、お仕事のある方は
有給をキープしといてください」と、いささか強引な発言の元、11月の火曜日に決行v



前の週の天気予報ではピンポイントでこの日だけについていた雨マークが
奈鳩さんとutaさんが「テルテル坊主を作ります!」と言った翌日から晴れマークとなり
うみのすけさんが「オタの執念、天気も変える」と笑う一幕も。
ちなみに奈鳩さんの作ったテルテル坊主は副長で、utaさんは斎藤兄上でした。
しかもどっちも怒り顔。

そして当日はペッカー!!と気持ちが良いほどの秋晴れ。

新宿合流組と途中合流が無事に落ち合えたのは青梅駅。
なんですか・・・半月も前に10時頃向こうに着くように、と話していた事しか
聞いてなかった柏木さんが予定変更になった事を知らずに
青梅駅で1時間近く待ちぼうけをしていたとか・・・。
せめて前日に確認しなさい、貴女は(笑)

しかもドタバタしているうちに奥多摩行きの電車に目の前で行かれてしまって、
そのまま次の電車を25分も待つ事に。
その間に朝食を取っていなかった乃都さんとutaさんが駅の立ち食い蕎麦屋で朝食を
食べてました。
時間の有効利用だなぁ。

そんなこんなのうちに、電車に乗り込みトコトコと奥多摩方面へ。
周囲は山また山。さすがは都下。
環境的には最高の場所ですよね〜。
遠いですけど・・・。


目的地の沢井駅へ到着したのは11時過ぎ。
天気良し! 空気良し! 風冷たっ!!
あんなにポカポカ陽気のはずが、どうしてこんなに寒いんだ、というくらいに寒かったです。
ほとんどの方は寒さ対策をしていたけれど、ちょっとばかり奥多摩を舐めていた乃都さんは
肩を丸めてカタカタと震えていました。
そしてそれはこの後、一日中続く事になってしまいます。

駅の前に真っ赤な紅葉の木があって「おお、秋だね〜」とみんなで浸りつつ
美術館に向かって足を踏み出しました。

ら・・・かなり急な下り坂が続いています。
ボーッと歩いていた海辻の隣にススッと寄ってきた柏木さんが「急ですよねぇ」
「うん。これさ・・・行きはいいけど、帰りは登ってくるんだよね」
すでに海辻の脳内は帰路の上り坂を思ってゲンナリ。
「しんどかったら手を引っ張ってあげますよv」
「うん、ありがとう。よろしく・・・」
おいおい、朝からテンション低いってば、自分(苦笑)

でもね・・・徒歩10分のはずの美術館までの道のりは、5分ほど下って5分ほど登るという
修行の一環のような行程だったのですよ。
「これって自転車でブレーキかけたら、1回転しますよね〜」などとノンキに下り坂で
話をしていた私たちの目に、ど〜んと上り坂が待ち構えてました。
やっぱりこっちも急・・・(涙)

ここの上り坂の途中に梵鐘があって自由に撞けたので休憩を兼ねて皆で ゴ〜〜〜ン!
音の広がりと共に清めの効果がある、と聞いた事もあるし、願い事を浄土に届けるとも
聞いていたので思わず「撞いたら祈っとけっ!」と叫びそれぞれが合掌。
・・・なんだが有難みが薄い気もするけど・・・ま、いっか。

あ、この坂に入る前に多摩川を渡るのですが、それが吊り橋になっていて
両岸の紅葉と川のせせらぎが何とも言えず感動ものでした。
皆がセッセと写真を撮っている間、ボヘ〜としていた海辻は近づいてきた奈鳩さんと
目を洗うような風景を堪能。

しばしの沈黙の後、「この程度の高さだったら落ちても骨折ぐらいですよね」と海辻。
「余程打ち所が悪くなかったら、そんなもんだと思いますよ」と10メートルぐらい下を
見下ろしながら奈鳩さん。
この絶景を前にして何を話してるんだか、私たちは(爆)



そしてまたまた上り坂。
この段階ですでに海辻は柏木さんのお世話になってました(苦笑)
前を見ると年上組のはずのうみのすけさんと奈鳩さんは颯爽と坂を上ってゆき、
若手のutaさんと乃都さんは何やら楽しそうに笑いながらタカタカ歩いてます。
眩しい! 眩しいぞっ! ばーちゃんは娘(かっし〜)に手を引かれてヨレヨレだぞ!
前を行く4人の眩しさと、柏木さんの手の冷たさが印象に残ってます。



ようやく目的地、櫛かんざし美術館に到着。
ここは個人収蔵のコレクションを澤乃井が譲り受けて公開しているのですが、
櫛、かんざし、矢立や着物など、目を惹くものがゴロゴロ。

細かい事はわからないので、あくまでも単純に「綺麗だね〜」と溜息をつきつつ鑑賞。
特に櫛の中では黒漆に金で秋を描いたものに目が吸い寄せられました。
櫛の下の方に薄と菊花が描かれ左上に満月。満月の右から金の川が流れるように下へ。
「天の川だね〜」と言った海辻に「かぐや姫を連想しましたよ」と柏木さん。
おおっ、確かに天人が下りくる光景にも見える!
かっし〜、あんたって人は意外にロマンチストじゃないか?
少々失礼な事を思いつつ、ぐる〜っと見て回っていると黒やべっ甲の中に
一際目立つ真っ赤な櫛がありました。

象牙にナントカいう染料を塗った・・・と書いてあるのですが、どうにも鮮やか。
普通古いものだと退色するんですけどね。
「新しいものなのかなぁ?」「でも回りは全部江戸時代のものですよ?」
「そうだよねぇ・・・でもせっかくの象牙に色を塗らなくても」「でも可愛いですよ、この赤♪」
と、柏木さんとああでもないこうでもない言っているところへ、うみのすけさん登場。

「これっていつ頃の櫛だと思います?」と聞いた海辻に
「う〜ん、このコチニールっていう染料は国内で取れないはずだから輸入品だと思いますよ。
 だとしたら明治か・・・でも江戸期でも長崎辺りから輸入していたのかも。
 どちらにしてもこれは退色しにくいし剥がれにくいものだから、時期を限定するのは
 難しいでしょうねぇ」
・・・・・・・・・さっっっっっすが、うみさんっ!!
極めてアヤシイ海辻のウンチクなんぞと違って、しっかり知識をお持ちです。


そのままかんざしのコーナーへ。

これまたすごいんですよね〜。
私たちのイメージでは舞妓さんなどがつけているような“びらびら簪”というものが
当時は普通に町娘もつけていたという事を知りびっくり。
とにかく細工が細かいんです。
あれは自分の目で見ないとどうにも表現しようがないですねぇ。
珊瑚や綺麗な石、当時は貴重だっただろう小さなガラス玉などを丁寧に組んでいて、
本当に職人さんの技術には感心しきり。

その中でも奈鳩さんと笑ってしまったのが簪の飾りの部分がミニチュアになっているもの。
盆栽とか茶道具一式とかがくっついてるんですよ。
なんというか・・・今も昔もミニチュアが好きな人っていたんだなぁ、と。
「どの時代にも、オタクは健在だったのね〜」と大笑い。

他に平たい銀簪で“心”という文字の上に錠前がしつらえてあるものにutaさんが反応。
「どなたか、これでお話を書いてください〜!」
と叫んでました。
これは心に鍵をかけて他の人に心を移さない様に、という願いの篭った簪だそうです。
確かにロマンチックなような・・・。
うみさんが書かれると言ってますので楽しみですv
うちの夫婦物でもちょっと出る・・・かも?


隠れキリシタンが使っていたという十字架を意匠した簪などもありましたし、
簪の飾り部分が回転するように細工されている物もありました。
かっし〜と二人で屈んでは下から細工部分を眺めて「これ回りますよね〜」「うんうん、こっちも」
と、何やら怪しい行動をしてました(笑)
矢立も扇形のものやミニミニ算盤がついたもの等、とにかく退屈しませんでした。

櫛の模様でウサギがいくつかあって、「何だか可愛くないよなぁ」と思っていたのですが、
奈鳩さんとutaさんは「あの当時ウサギは食肉用に飼われていたはずだから、
きっと逞しくて可愛らしさとは無縁だったのよ」「人相ならぬウサギ相が悪かったんですね」
などという会話をしていたそうです(笑)
確かに鹿も可愛くなかったなぁ・・・あれも観賞用じゃなかったからか。


あーだこーだと楽しみながら美術館を後にして、さて昼食を・・・と思ったら
予定していた店がもはや料理が品切れで、予約しなかった海辻の大失態(汗)
でも優しい皆様方は笑って敷地内にある売店でうどんやら焼きおにぎりやら
卯の花饅頭などを食べて許してくださいました。
甘い物好きの柏木さん達はメニューを見て「おお、酒饅頭だっ!」と喜んでいたのですが
生憎売り切れ中。
少々がっかりしながら他のものを食べている時に「あっ!出たっ!」と叫んだかっし〜の声に
乃都さんutaさんが振り向き、同時にお財布を握り締めて「食べる人っ?」
ぱぱっと上がった数本の手を確認して売店に走っていきました。

そう、柏木さんが見つけたのは蒸かしたての酒饅頭が売店に届いた様子。
そして乃都さん達の反応の素早さよ・・・(爆)
おかげで海辻もホカホカの酒饅頭にありつけました〜美味しかったですv

ただ、その場でびっくりびっくりな出来事が。
私の隣に座っていた柏木さんがうみさんが見ていたutaさんの京都土産が包まれていた
包装紙を見ようと、すっと手を出して「んっ!」。
この「んっ!」が「頂戴!」だったのか、「寄越せ!」だったのかは謎ですがとにかく目が点。

「すごいね、貴女は・・・。うみさんに「んっ!」って・・・(絶句)」
この海辻の言葉には柏木さんだけでなく、うみのすけさんも目をパチパチ。

いや、わかってるんですよ。
「特別扱いしないでね〜」と言ううみさんの気持ちは。
でもですね。utaさんがHANAさんや藤枝さんを“神”と崇めるように、
海辻にとったらうみのすけさんは“至高の存在”なんですから!
ええ、もう周囲が気づいていたか知りませんけど、今回の旅は細心の注意を払って
うみさんから微妙な距離を取りつつ、けれど姿を目で追っては幸せに浸っていたんですから。
恐れ多くて中々近づけなかったんですから。
だというのに・・・この子はっ!!

思わず後ろ頭を殴ってやりたいと拳を握り締めておりました・・・ほほほっ。



ま、それは良いとして・・・予約していた澤乃井の酒蔵見学にぞろぞろと参りました。

酒蔵の手前に古い日本家屋がありました。
屋根が桧皮葺で苔やら雑草やらが生えている、何とも年代物です。
と、思っていたのですがもしかしたら“桧皮葺き”ではなく“杉皮葺き”だったかもしれません。
桧の場合は木を切り倒して乾燥させた表皮を使うので神社や寺などの社殿に使われる
事が多く、杉の場合は生えている状態で表皮だけを剥がして使えるので
一般的に使われる事が多いようです。
横から見たとき、幾重にも木の皮が重なっていたので・・・やっぱり杉皮葺きですかね。
そしてやっぱり葺き替えは半世紀から一世紀ごとだそうですよ〜、かっし〜v

ひんやりとした蔵の中は夏でも涼しくお酒を貯蔵するのに最適にできているとか。
江戸時代に建てられたという蔵は梁も太く白壁の土蔵造り。
ニョキニョキと林立する今風の貯蔵タンクが少し浮いている感じでもありました。
色々と説明を聞きながら奥へ進むと巨大な木でできた樽がありました。
今では少なくなった樽職人に京都で作ってもらったそうですが、樽を作るには樽職人だけでなく
箍職人というものも必要だそうです。
樽の周囲をグルッと取り巻く竹でできた箍。
“タガをはずす”という語源になったものですよね。
色々な職人技が合わさって作られた巨大な酒樽・・・。
これで醸されたお酒を飲んでみたいと思いました。

都内名水五十七選に選ばれているという仕込み水の水源も見ましたが、
その透明度はかなりのものです。
酒蔵見学の前にその水を飲める場所を見つけて少し飲んだのですが、
湧き水って生臭いというか土臭いものも多々ありますけれど、ここのはスルリと柔らかい。
美味しい、という言葉よりも「抵抗無く染みる水」っていう感じでした。

蔵を見学した後、お酒を試飲しながら係りの人の話を聞きました。
その中でお酒の温度に関して語ってくださいました。
雪冷え、花冷え、涼冷え これが冷酒の温度を示す言葉。
他に燗酒を示す5つの言葉。
詳細はうみのすけさんがブログで書かれてます。

おかしかったのは、その場にいたテキストサイトの4人がバッ!とメモを取り出した事。
うみさんはそれ以前からメモ帳に色々とメモを取っていたのですが、
海辻を含めた外の3人の反応が・・・(笑)
全員「これはネタだっ!!」と思ったんです、間違いなく。
近々みなさんそれに関した話を書かれると思いますよ〜。
いっそその単語をテーマにして、企画でもやりますか?(笑)


こうして酒蔵見学を終了し、駅へと向かったのが4時過ぎです。
行きに案じていた通り、急な上り坂にひーひー言い出した海辻の手を
柏木さんがガシリと掴んで引っ張ってくれました。
くれました・・・が。
坂道を何とか乗り越えた海辻の前に駅の階段が見上げんばかりに聳え立ってます。
いくら手を引いて貰おうと、動かない足ではどうにもならんという事を実感しました(涙)
でも有難うかっし〜。君の優しさは忘れないよ、うん。



この後は一路新宿へ向かって酒宴です。
一路、と簡単に言いましたが、これがまた遠い遠い(苦笑)
幸い座れたので楽でしたけれど、1時間半は楽にかかりますからね〜。
でもあまり話をする機会の無い乃都さんと色々と話せて楽しかったです。
是非、沖田のコスプレをした時には写真を撮って見せてください♪


さて新宿。

昼間の奥多摩より夜の新宿の方がナンボも暖かいのに笑えましたが、宴会ですv
1日を通していつもよりもテンション抑え目だったのは、今までは新選組関連の
展示物だったり幕末関係だったりで「おおっ!!」と、そこから話が広がっていたのですが、
この日は純粋な美術品を楽しんだせいだったかもしれません。

で・も。乾杯と共にスイッチオン。
沖田の発病時期やら労咳発症からのタイムリミット。
沖田の墓の謎。
もうもうもうっ!! うみさん、さすがですっ!! 奈鳩さん、詳しいっ!!
utaさん、そんなに三条大橋の斬り合いが気になるのっ?
史実バレが苦手な方なら耳を塞ぎたくなるような、けれど興味深い話がてんこ盛り。

これは抑えておいた方が良い、という本の紹介とか。
とにかく話は尽きません。
途中まで車で来ていたという柏木さんと日頃からあまり飲まない奈鳩さん以外の
酒量もうなぎ上り(爆)
相変わらず酒豪ばかりです。
そして食べる、本当に食べる。
品良い店だったので、少量ずつしか出てこないのが原因なんですが、
出てきた料理は一呼吸後に消えている・・・という言葉が相応しい(笑)

飲んで食べる合間に「次はどこへ行こうか〜」と相談しつつ、
水戸だ日野だ青梅だ、一泊で雪の会津に温泉の旅とか・・・。
語るのは自由です。
なので京都弾丸ツアーの話まで出ます。
オタが集う京都の旅(うっとり)

いつかそんな旅ができたら良いですね〜。
その前に体力をつけておかなくては・・・(汗)



今回もご一緒してくださった皆様、本当にありがとうございました。
相変わらず色々と不手際満載でしたが、海辻はすっっっごく楽しかったです。

特に翌日に引越しを控えていたのに、強行参加してくれたutaさん。
重ね重ねお疲れ様でした。
無事に引越しが済んで良かったです。

初参加のうみのすけさん、あまりに恐れ多くて中々話を振れませんでしたが、
お会いできて感激でした。
また是非、遊んでやってくださいませ。

奈鳩さん、乃都さん、柏木さん、いつもいつもお世話になってます。
次はかっし〜の運転で水戸へ行きましょう(笑)


次回も楽しみにしてますね〜。
心からの感謝を込めまして、これで報告を終了いたします。

読んでくださった方、ありがとうございました(礼)