海千山千コンビ、京都姫路の旅報告 (2008.11.13〜15)
一
「紅葉の京都に行きたいね〜」
どちらともなく言い出した事が気づいたら本格化してました。
11月13日(木)
早朝の東京駅で落ち合った奈鳩さんと海辻は7時3分の新幹線で出発です。
前回の旅では朝食用におにぎり持参だった奈鳩さんですが、今回は持ってきていないとの事で
ふたり揃って駅弁を購入。
パンとかおにぎりではなく、駅弁です。夕飯に食べてもよいボリュームの駅弁です。
それをいきなりモリモリ食べてます。この先が体力勝負だと覚悟してる行動でした(笑)
車内では旅の予定を確認しつつ、互いに抑えられない興奮に微妙に落ち着きを失ってましたが
それも当然の事。
夢にまで見た再上洛なのですから。
「おおっ、京都が近づいてくるよぉっ!」 「京都だ京都だっ!」
・・・落ち着きなさい、大人なんだから、アンタ達・・・と、諌めてくれる人もおらず胸は高鳴るばかり。
そして京都に到着!
「地下鉄の乗り場はドコだ〜?」 「こっちこっち」
京都は旅人に優しいです。あちこちに分かり易い表示があります。
ちゃっちゃと宿泊用の大荷物をコインロッカーに預けて烏丸線で御所へGO!
今回もいきなり関西組の方々と待ち合わせだったのです。
10時半に丸太町駅へ辿り着き、まずはHIKARUさんが爽やかに登場。
おおっ、髪が長くなってたからわからなかったですよ。
続いてHANAさんがニコニコ到着。相変わらず優しげで素敵な方なのです。
そしてやっぱりカバンの中から取り出した飴ちゃんをくださいました(笑)
HANAさんの飴ちゃんです。大事に大事に取っておいても良いような品ですが
海辻はその場でサクッと食べてしまいました・・・少しは感動しようよ、自分。
最後に雨音さんが恐る恐る「コンニチワ」。
全員と「初めまして」だったせいか緊張感がピリピリと伝わってきました。
でも大丈夫。そんなものは最初だけです。皆そうなんです。無問題。
奈鳩さんのリクエストで行く事になっていた京都御所は秋の一般公開の最中。
普通だったら事前に申し込まないと見られない場所なのですが、この時期は好きに見られます。
なので全員でゾロゾロと向かいました。
蛤御門が見たいという事で御苑外側の西壁に沿って歩いて行きましたが、ここは実に広い。
HIKARUさんが「以前来た時御苑の入り口から御所の壁まで歩けども歩けども辿り着けなくて
本当に遠かったんですよ。壁は見えているのに近づかないの」と言っていましたが、
実は海辻も経験有り。
昔来た時本気で動く歩道が欲しいと思いましたから。
それも当然、御苑入り口から御所正面の建礼門までは700mほどあります。
今回我々が合流した地点からぐるっと御所を拝観して、移動の為のタクシーに乗った場所までを
距離測で調べてみたら2.5kmありました。絶句(汗)
蛤御門では奈鳩さんが萌えを放出しながらデジカメで激写している姿を微笑ましく眺め、
そのまま宜秋門から入場です。
入り口ですでに大混雑。さすがに一般公開の時期。ここぞとばかりに集合してます。
以前来た時には事前に申し込み、5.60人の団体でしたが説明を受けながら見て歩きました。
それだけに今回は人に圧倒され、海辻はあまり落ち着いてなかったようで、
ちょっとばかり記憶が薄い・・・(汗)
相変わらずデジカメを握り締めて激写している奈鳩さんと携帯撮影隊のHIKARUさんと雨音さん。
ここでの行方不明率No1はHIKARUさん。撮影に夢中で時折失踪(笑)
HANAさんはお庭の見事さや建物の壮麗さにしきりと感心してました。
落ち着きの無い海辻は雨音さんが写真を撮ってる前を幾度も横切って、
その度に「ご、ごめん!」と謝ってました。それでも繰り返す・・・。
正殿である紫宸殿はさすがに格式高くその威容には圧倒されました。大きな階段が正面にあり
左近の桜と右近の橘ももちろんあります。階段の手前には昇れないように柵が配置され、
両脇には台に乗った皇宮警察の方が不埒者がいないかと眼を配ってました。
「ねえ・・・」 「はい?」 「あれさ・・・見えなくない?」 「そうですねぇ・・・」
「皆で一気に階段を駆け上ったらさ、誰か一人ぐらいは辿り着けそうじゃない?」
「ああ・・・確かに・・・」
海辻と奈鳩さんの会話です。
だって階段の上、室内にある高御座(たかみくら)とか見えないんですよ。遠いし高いし。
2.3人が犠牲になってるうちに奈鳩さんが辿り着いて激写してはどうか・・・などなど
実に危険な会話をしているふたりをHANAさん達は生暖かい目で見ておいででした。
その後は清涼殿の室内にあった狛犬について、元々は神社にあったものじゃなくて
天皇を守護する為にこうして室内にあったのが上賀茂神社に伝わりそこを起源に
他の神社に広まったんだよ〜、などというウンチクを海辻が雨音さんに垂れ流したり、
展示されていた牛車を見ながら「どうせだったら十二単の出だし衣ぐらい飾ればいいのに」
と文句を垂れてみたり、正倉院に碁に関する品々が残っているという表示に
「そんなに昔から碁ってあったんだ〜」と感心しつつ「私、碁はできないしオセロでも弟に
勝てた例が無いんですよね」「私も時々息子に負けます」「先を読めないって事ですね」
「目先の事ばかりで」とHANAさんとしみじみしてみたり、と賑やかに御所を見て回りました。
・・・2.5km。
わいのわいのと御所を出て、次はカラオケボックスへと移動です。
雨音さんが見つけておいてくれた四条のあたりの店に乗り込み、まずはランチ。
カラオケボックスとはいえ中々満足しました。だってここは食べるのが目的じゃないし。
食事をサカサカッと済ませて 「早く早くっ!」 とチーム関東年上組にねだられて
始まったのはカラオケではなく、生お絵描き大会!!
これが今回の旅の目玉だったのです。
『風』二次創作界の方々。海辻の興奮を理解してくださる事と思います。
HANAさん、HIKARUさん、奈鳩さんという錚々たる面々に若手のホープの雨音さん、
この方々が目の前で揃って絵を描いてるんですよっ!!!!
こんな感じvvv ありえねぇぇぇっっっ!!(海辻、心の叫び)
唯一絵の描けない海辻はひたすらカラオケをかけながら(でも歌わない)皆様の手元を凝視。
それまではHIKARUさんと海辻に挟まれ、目の前にHANAさんと奈鳩さん、という位置に
無理やり座らされて(後から考えたらちょっとイヂメ?(爆))居心地悪そうだった雨音さんが
絵を描き出したらスッキリ落ち着いてました。描かれていた絵はHANAさんのリクで
オスカル仕様の副長でしたけど(笑)
線画の間はHANAさんの息子さんや奈鳩さんの娘さんの思春期にありがちな
素朴な問いや微妙な不安の話、雨音さんの年齢詐称疑惑、HIKARUさんの趣味など
実に様々な会話が繰り広げられていましたが、色塗りが始まった途端一気に無口。
「線だったら消しゴムで消して修正できるけど、色塗りのミスは修正が効かないから」と
奈鳩さんが教えてくれました。
なるほど・・・。
「那由さん、退屈じゃないですか?」 とHANAさんが気遣ってくださいましたが
全力で 「まったくっ!!」 と返答しました。
退屈なんてしてる暇無いっス。海辻の眼は小さくて細いので目立たなかったでしょうが
キラキラと輝くなんてものじゃなく、爛々と萌えていたはずです。
絵師様方、神々の間にお邪魔してる凡人の感動。今思い出しても溜息だぁぁぁぁ・・・。
けれど時は過ぎるものです。
どれほど「止まれっ!」と思ってもお別れの時間は参ります(涙)
完成したHIKARUさんの絵をいただいてホクホクしつつも、皆様と別れ難く離れ難く
けれど「またお会いしてくださいね!」とハグして関西組の方々は帰宅の途に着かれました。
相変わらず品良く優しく軽やかなHANAさん、「行きますよ〜」と言い出した時から
細々と相談に乗ってくださりありがとうございました。
無理やりお仕事を休んで参加してくださったHIKARUさん、前回同様気さくで明るく
会話を盛り上げてくださいました、とてもとても楽しかったです。
そして初対面で緊張していたはずの雨音さん、参加してくださって感謝です。
奈鳩さんと海辻の共通の感想は「uちゃんと会わせたい」でした。
挙動不審さでは uちゃん>>>>>雨音ちゃん>>KUROちゃん>かし子ちゃん
こんな感じでしたよ(笑)
初対面の方が苦手な海辻が比較的普通に話せたのは、少しuちゃんに似てたからかも。
とても可愛らしい方でした。ええ、お持ち帰りしたいぐらいに!
皆様、本当にありがとうございました。
またこのような機会がある事を、心から願います。
その時には是非、遊んでやってくださいませ(礼)
さて、余韻に浸りながらも我々は旅のスケジュールをこなします。
花見小路をプラプラ歩きながら東山方面へ。
「竜馬の墓に参りたい」という奈鳩さんの希望で霊山歴史館の方向へ。
途中で少〜し迷いましたが無事に到着・・・したはしましたけど、途中の坂が強烈でした。
まだ初日です。しかもカラオケボックスに篭っていた時間もあったので、海辻の少ない体力も
温存されていたはず。
がっ!坂道で体力ゲージは一気にレッドゾーン突入。
竜馬の墓のある護国神社の境内から「あっちにお墓があるらしいですよ」と奈鳩さんが
指差した先を見て絶句。
階段ですヨ? しかもどうやらず〜〜〜っと上まで。
「・・・・・・・・・ごめん。私、ここで待ってる。ゆっくり行ってきて・・・」
海辻のギブアップ宣言にあっさり頷いた奈鳩さんは、ひとりでサクサク登っていきました。
これは互いに互いの体力差を熟知している事と奈鳩さんが海辻の好みを
理解している故の行動です。
海辻は志士というものに全く興味がありません。むしろ嫌い?
『勤皇の志士を祀る護国神社』という説明文を読んだだけで、微妙に不機嫌の気配を
漂わせてましたし〜。だって「京の町を火の海にしてでも玉(帝)を奪え」
・・・なんて言ってた人達をありがたく祀るなんて変じゃないのサ。
「竜馬は違うからっ!」と言う方もいるでしょうが、今のところ竜馬にも興味は薄いのです。
そんな事情から「ここで無理に体力を使いたくない」という海辻の気持ちを
奈鳩さんは察してくださったわけです。
なんたって酷暑の会津では山の中を近藤局長のお墓まで歩いたのも知ってますしね。
興味があれば這ってでも行きますが、そこまでの熱意はありませんでした(苦笑)
で、ぼ〜っと体力回復をしているうちに奈鳩さんが帰還。
「京の街が一望できましたよ」とニコニコの様子に、後で写真を見せてもらおうと
思いながら次の場所へと向かいました。
ふたたびプラプラと歩きながら高台寺へ。
ここは豊臣秀吉の正妻だった“ねね”こと高台院が住んでいたお寺として有名です。
こちらの夜間ライトアップが目的だったのですが、暗くなるまで少しだけお土産屋さんを
物色し、向かった先で凄いものを見てしまいました。
夕景に浮かぶ八坂の塔。
写真ではよく見る風景ですが、自分の目で見るのはまた違う感動です。
わずか10数分。竜馬の墓や土産物屋に寄らなかったり、どこか他の場所に寄り道していたり
そんな小さな事で見られなかったかもしれない風景。
このタイミングでこの場所に立っていた事の奇跡を二人で噛み締めました。
本当に言葉も無く、感動したぁ。
感動を引きずりながら宵闇が濃くなる中を高台寺へ。
方丈や書院を拝見しましたがそれより何よりやはりライトアップ。
庭へと出たふたりは言葉無く目の前の池を見つめました。
偃月池(えんげつち)と名づけられた池には、ライトアップで照らされた紅葉と緑の葉が
鏡に映されるようにくっきりと映りこんでました。
真っ暗な空が池のほとんどを覆い、明かりを受けて輝く葉がその淵を彩る。
これはおそらく奈鳩さんが撮影したと思うので、UPされていたらご覧ください。
「綺麗だねぇ」 「うん、綺麗・・・」
それ以上の言葉はありませんでした。
けれどやはりここも人が多く、ほどほどで後続の方に場所を譲り霊屋(おたまや)へ。
秀吉とねねの像が飾られたこの場は二人を祀っています。
「普通さ、寺院だったら奥の院とかで祀るよね」
「そだね。やっぱり大明神になった人だし、普通の寺とは色々祀り方が違うんじゃないかな」
などなどブツブツ語りながら階段を上がっていくと奈鳩さんが無口。
実は高台寺って竹林も見事なんですよね。ちょうどそのエリアに差し掛かった途端
竹林スキーの奈鳩さんが魂を持っていかれてしまったのです。
足元は暗いけれど、ぼんやりとライトアップされた竹林の玄妙さ。
見上げると葉が重なり合って風に軽やかな音を立てる。
・・・ふふふ・・・予想以上に感動してくれて良かったv
本当は月明かりだけっていうのが一番美しいんですけどね。蒼いライトも綺麗でした。
高台寺を出て高台院ゆかりの品を展示している掌美術館へ。
ここには秀吉が使っていたと思われる緋羅紗のスリッパがありました。
羅紗という布は輸入品ですからあの時代ならではの品だよね、と頷き頷き。
そして夕飯です。
今回はあまり贅沢はしない貧乏旅行にしようと言っていましたが、一度くらいは
京都らしい物を食べたいと下調べしておいた店で『ゆば鍋膳』を堪能。
茹で海老の頭が妙に頑固で中々外れなかったとか、豆乳鍋が煮過ぎて分離してしまったとか
そんな事もありましたがここでの秀逸はとろとろ湯葉かけご飯が美味だった事!
オプションでしたけど、ご飯の上に刻んだ生湯葉が入った銀餡がかかっている
実に美味しいものでした。
私には少し味が薄く感じられましたが、それでも美味しかったですvvv
お食事の後は期間限定公開の高台寺の塔頭である圓徳院へ。
ここはねねの兄の家系である木下家の菩提寺です。
紅葉には少し早かった事もあり、白砂の敷き詰められた庭の美しさはあまり印象に
残ってなかったりします。
少しお疲れモードになってたかなぁ〜。
さてそろそろ宿に帰ろうかとお寺を出てバス停方向に歩き出した時、
海辻が大事な事を思い出しました。
「あのさ・・・月真院、行ってないよね」
高台寺月真院は現在非公開になっていますが、場所はわかってます。
いわずと知れた伊東甲子太郎一派が滞在していたお寺です。
「敷地内には入れないけど通りに面してるから運がよければチラッと覗けるかもよ。
行ってみる?」
海辻の提案に奈鳩さんが「もちろんですっ!行きたいっ!」と良いお返事。
そんなわけでクルリと方向転換して来た道をテクテク戻ってみました。
ら。
何かやってる?
『禅の空間と光のインスタレーション』
・・・とかいうイベントを月真院と岡林院の庭でやってまして、敷地内に入る事ができました。
らっき〜vvv
ちんまりとしたお堂が二つ。
外から見ただけですが、片方は庫裏だと思うのでおそらく大きい方にカッシー達が
滞在したのでしょうが、ここに中二階を作るのは難儀だったろうなぁ、などとしみじみ。
空に出ていた月を奈鳩さんと見上げながら「彼らもこうして月を眺めたんだろうねぇ」
「何を思っていたんでしょうかねぇ」・・・うん、私も知りたいよ。
そんな風に同じ思いにしばし浸り、せっかく入場料を払ったんだし、と
ついでにそのイベントというか、庭の展示を見てみました。
庭に青い光を放つ柱が一本立ってる。
池にまん丸の黄色い月に人の顔が描かれた紙だか何だかが刺さってて、ライトに照らされてる。
・・・・・・・・・なんだコレは・・・・・・・・・(汗)
もう一箇所の岡林院(こうりんいん)も行ってみたんですけど。
ふたりして無言。ええ、感動してではなく、フツフツと湧き出す憤りに!
あのですね、何も寺院の静謐な空間に無理やり前衛美術を放り込む必要は無いと思うよ。
「あれ、なに?」 「冒涜ですよ。日本文化に対する冒涜!」 「何で寺でロックがかかるのさ!」
「何か間違ってますよねっ!」
あれは行ってみないとわからんでしょう。ミスマッチなんてものではなく、ミスミスだ。
月真院へ入れた感動を吹き飛ばすような怒りに身を震わせながら宿へと向かいました。
この日の宿は『興正会館』。
興正寺の宿坊というか宿泊施設です。聞き覚えのある方も多いと思いますが
近藤局長の妾宅があったのが“興正寺下屋敷”。西本願寺のお隣ですv
十二畳ぐらいある広い部屋に奈鳩さんと二人。
でも何より急いでお風呂です。宿坊は門限も早いし入浴時間も定められているのです。
到着時間が9時半過ぎ。お風呂は10時半までです、急げや急げ!
そんなわけで初めて奈鳩さんと裸の付き合い(爆)
でも海辻は眼が実に実に悪いので眼鏡が無いとほとんど見えません。
そんなわけで麗しくもスレンダーなお姿を拝見する事はできませんでした(笑)
部屋に戻った二人は布団を敷いてその上でゴロゴロ。
「明日も早いですからね」 「うん、がんばって起きるよ〜」
などという会話をしているうちに奈鳩さんから安らかな寝息が・・・。
「おお、随分寝つきが良いなぁ。そういえば会津でも最初に寝てたよなぁ」
と、感心している海辻でしたが前夜は緊張と興奮の為にほとんど寝てなかったので
少しずつ睡魔が訪れつつありました。
が、突然脳裏でバチッとある事が閃いた瞬間、一気に覚醒。
「ちょぉぉぉっと待て! ここって西本願寺の隣って事は総司が寝てた場所と同じ区画?
ええっ? 何それ? すぐそこで総司達が寝てたんだ〜。凄いぞ、凄い事実だ!」
興奮興奮興奮、ふんふんふんっ!!
お暇な方はまぴおんでも何ででも調べてみてください、興正会館と西本願寺の距離を。
ここまで至近の場所に寝てたんです、私たち。
そうして真っ暗な室内で一人悶えて明け方まで眠れないお馬鹿さんがおりました。
二日目以降に続く